大学時代の、オムライスの話
大学2年か3年かの、夏だったか秋だったか、大学の広報担当の方と、学生は私を含めて3名(だったと思う)で、横浜市のとある中学校にお邪魔して(大学は横浜市の公立大学)、広い体育館みたいなところに集められた中学生たちにマイクを通して何かを話す私、という状況が久々にフラッシュバックした。
(正確には、細かいことはまったく覚えていなくて、その中学校までどうやって行ったのか、とか、そのイベントはそもそもどんなふうに始まって、どんな流れで私が話すことになったのか、とかは思い出せない。もしかしたら私は4年生だったかもしれないし、季節も冬だったかもしれない。前置きが長過ぎる。)
ただ、そこでオムライスの話をしたことは鮮明に覚えているのである。
と、いうよりも、10年ぶりくらいに思い出した、のだ。
同行した広報担当の方は、私が突然オムライスの話を始めるものだから、とても驚いたそうだ。そりゃそうだろう。何のイベントかは思い出せないけど、中学生の授業時間に大学生を呼んで、オムライスの話が始まるとは思わない。
「この中で、オムライスが好きな人は手を挙げてください」
というところから話を始めた。
中学生たちも怪訝な顔で、ちらほらとしか手が挙がらなかったことも、思い出してしまった。
「私は、オムライスが好きなんですが、オムライスが好きだと周りに言いまくっていたら、おいしいオムライスのお店を教えてもらえたり、連れて行ってもらえるようになりました」
まだ何の話か、みえない。
お題は、これから高校受験や、自分の進路を選択する人たちへ向けたメッセージを話してください、というものだっただろうか。
その後には、
「もし、自分の好きなことややりたいことがあるのなら、それを大きな声で周りに伝えてください。例えば『〇〇高校に行きたい』と言ってみたら、〇〇高校の情報が、あなたにどんどん集まってくるようになります。『消防士になりたい』と言えば、消防士になるためにはどうすれば良いか、教えてくれる人が現れます」
と、続けた。
「だから、好きなことややりたいことは、周りに伝えてください」
と。
私の(曖昧すぎる)記憶が確かならば、その話をしてから10年は経っているのですが、この世の中に、このオムライスの話から始まる私のメッセージを、覚えてくれている人が3人もいる、このうれしさで、ごはんおかわりできるな。と思ったある秋の夜の話。